

臨床薬学とは?
バイオテクノロジーの進歩により、分子レベルでの生命現象解明が進む中、この先いつしか遺伝子操作により人格や個性までもがかえてしまうかもしれないまでに、医療技術は進化しています。そんな中、技術が高まれば高まるほど、それを取り扱う技術者のモラルが重要視されています。こうした最新の技術に対応する知識はもちろん、使用にあたってのモラルと責任感を持つ薬剤師の育成-それこそが本学科の目的です。
これからの薬剤師の役割として、一人ひとりの患者と向き合い、あらゆる手法を駆使し一般市民への薬剤知識の啓蒙活動までもが含まれます。そして病院での医療支援者としての役割、さらには糖尿病やがんなど個々の疾病に対応できる薬剤師の特化など、患者さんに直接接し、会話の出来る薬剤師が必要とされています。

臨床実務能力のある薬剤師
としての人材の育成を実現
欧米では、日本以上に薬剤師の社会的な地位が高く、医師と対等の評価をされています。日本と欧米の格差の要因は、臨床実務能力の差だとも言われています。2006年からスタートした薬学部6年制では、病院実習の期間が長くなるなど、薬剤師の臨床実務力の強化が図られるようになりました。欧米なみの高い専門能力をもつ薬剤師の養成を狙いとしています。これからの薬剤師は、欧米のように医師や看護師と対等なパートナーシップを持ち、医療スタッフの中核を担うことが期待されています。そんな人材の育成をめざすのが、ハマヤクの臨床薬学科です。
研究分野
基礎薬学分野
疾病の薬物治療を行う上で基礎となる
理論を構築する研究分野です。
機能形態学
生体は、多くの器官が有機的に繋がり情報交換を営むことによって生命活動を維持しています。健康な時に体がどのように機能しているかを理解することは、疾病時に起こってくる生体変化を知るために必要不可欠です。さらに、薬物の作用機序を解明する上で重要な学問です。
薬理学
生体に対する薬物の作用機序を明らかにする学問です。薬物療法における薬の選択を行うための基礎となる研究分野です。医薬品の薬効だけでなく、副作用や薬物相互作用などの有害作用の発現機構を解明し、危険を未然に防止する上でも必須です。
病態生理学
患者の代表的な症状と臨床検査値に関する基本的知識から患者情報を知ることができます。効果的な治療を行うには、疾患に関する知識を把握する必要があります。ここでは、薬物治療をする上で、薬物選択と副作用の防止など重要な情報を与えてくれる分野です。
薬剤学
薬物が効果的に作用を発揮するためには、最適な時間に必要量の薬物が適切な部位に到達することが大切です。この分野は、薬物の物理化学的、及び生物学的性質を基礎として、多剤併用時における薬物間相互作用を明らかにし、それによって投与する薬剤の剤形や用法を研究する学問です。
漢方薬学分野
漢方理論を解明し、現代医療の中に生かすための手法や評価を学ぶ応用分野です。
生薬学
漢方薬を構成する生薬をはじめ、家庭薬、民間薬、伝統薬などに用いられる個々の生薬について、その基元植物を明らかにし、生物学的特性、含有する成分、薬としての作用などを解明する学問である。生薬の加工、管理保存法、鑑別法、試験法などの製剤化に関する手法の改善も行う。
薬用資源学
天然資源に医薬品のソースを求める研究分野であり、医薬品原料の確保の観点から、微生物、植物、動物、鉱物などのアプローチや民間薬へのアプローチが必要である。薬用植物の育種、栽培生産、流通のほか、バイオテクノロジーによる動植物の増殖なども対象となる。
漢方薬物学
生薬の生理活性は、合成薬に比較して一般に作用が緩和であり、作用が特定していることなどから、その薬効の実験的証明にはより巧妙な手段を必要とする。エビデンス・ベイスド・メディシンとして新薬と同レベルの評価を経て、漢方を現代に活かすための研究領域である。
漢方治療学
漢方調剤を実施する際に、薬剤師が服薬指導、薬歴管理、疑義照会、病棟業務を的確に遂行するためには、漢方の臨床を知っておく必要がある。そのために漢方理論による診断と治療について研究し、漢方薬局における患者のセルフメディケーション推進する研究分野である。
カリキュラム
21世紀型の医療に対応できる薬の専門知識と技術をもつ薬剤師を育成
1年次
介護学概論
患者の安全確保とQOL向上に貢献できるよう、介護の目的と役割や介護を要する患者の身体的、精神的心理状態について学び、介護の展開課程や現場についての基礎知識を身につけます。
リハビリテーション概論
近年ますます重要性が高まるリハビリテーションについて、その概念や基本的生活を支障するための人権思想を学びます。また、リハビリテーション専門職種の役割と機能を学び、チーム医療に貢献できる知識を学びます。
2年次
本草学
西洋医学的な概念にとらわれない正しい漢方薬物認識の方法を身につけるため、薬物に関する記載の歴史的な変遵、漢方薬物本来の薬としての性質やその背景となる知識を、古典文献から学びます。
薬用植物学特論
医薬品開発の最も重要な資源である薬用植物。その薬品に利用されている植物成分や実用化のプロセスについて、また薬用天然資源の保護や生産性、流通、国際貿易、自然保護など広い知識を学びます。
生薬学特論
現在漢方で使用されているほぼ全ての生薬の基礎事項をマスターするため、日本薬局方収載の生薬をはじめ、局方外も含めた約250種類の生薬について、起源や特性、成分情報、薬理作用の特色と臨床応用例などを学びます。
3年次
民間薬概論
理論的裏付けが少なく応用の幅は狭いものの、一つの病気に対して、一つの薬が明確な効果を示し、安全性も高いと言える民間薬。その何が正しく、何が正しくないのかを判断する民間薬の基礎知識を学びます。
漢方理論 l
漢方薬の特徴である、独特の診断法、独自の生理・病理感に基づくアプローチ、複数の生薬の組み合わせを尊重する漢方製剤という3側面についてその理論を学びます。
漢方生薬化学
漢方生薬に含まれる化学成分について、分離精製法から化学反応性、薬理作用などを学び、化学的手段による成分探索法や定量法はど品質評価の手法を学び、複合処方における成分試験法の実験計画を作成できる知識を身につけます。
4年次
漢方薬効解析学
複数の生薬を組み合わせるため、その複合作用の解明が難しい漢方。そこで、繁用される漢方生薬を例に、臨床データ等を学び、エビデンス・ベイスド・メディシンとして通用する言葉で説明できる能力を身につけます。
漢方理論 ll
漢方理論 l に引き続き、漢方独特の理論について学び、さらに感染症の治療理論として「傷寒論」を知り、風邪症候群の症状の解析とそれに用いられる多くの漢方処方を学びます。
漢方薬理学
漢方独特の診断や薬の選択等を現代医薬での実験による薬理作用、薬効評価、安全性評価を進めるため、漢方の薬理理論を現代薬学の手段・手法で解釈し、科学性を持って理解することを学びます。
5年次
漢方製剤各論 l
大きく二種類に分類される漢方製剤のうち、保険適用の医療漢方製剤についてその特徴と分配生薬、薬効、臨床的適応、服用法、服薬指導方法など詳しく学びます。
漢方製剤各論 ll
漢方製剤のうち、主に漢方調剤薬局で調剤され、保険の適応外となる漢方湯液の医療用漢方製剤との相違点を明らかにし、配合生薬や薬効服用法など詳しく学びます。
漢方治療学総論
医療現場で行われている漢方製剤の効果・効能、副作用や相互作用などについて詳しく学び、実際の漢方医療についての知識を身につけます。
6年次
漢方処方学
患者にあった漢方製剤を処方し、調剤するのに必要な知識について、また配合生薬の選別法、補完・管理などの基礎知識や問題点について学びます。
臨床漢方治療学 l
漢方医学の処方と診断についての学び、西洋医学的診断方法との比較によりその考え方の相違を理解します。また、現在使用されている漢方製剤が"個の医療"に対応するものである知識を身につけます。
臨床漢方治療学 ll
婦人性疾患やアレルギー疾患、慢性的な胃腸疾患、虚弱体質や自律神経失調症などの症例に用いられる漢方処方について、臨床例に基づいて学びます。
漢方品質評価論
漢方薬を安心して使用するために重要となる、品質保証。そのために薬剤師の立場から漢方製剤の安全性と有効性を患者に伝える詳報について学び、同時に漢方薬製剤メーカーの安全性などに関する品質評価への取組についても学びます。
